不動産売却の書類について

不動産を売却するには、多くの書類が必要です。

書類が必要なタイミングは、

①販売活動を任せる仲介会社との「媒介契約時」
②仲介会社の「販売活動中」
③買主と結ぶ「売買契約時」
④売買契約に記載した期日に実施する「引き渡し時」

以上の4つに分類されます。
どんなタイミングで、どんな書類が必要になるかを紹介いたします。

タイミングと取得について

不動産の売却時に必要となる書類について、必要度合いや必要になるタイミングとともに用途や入手方法についても説明いたします。
すでに所持されているであろう書類もあります。また手配してから入手できるまで時間を要するものもあります。

登記済権利証/登記識別情報

登記済権利証/登記識別情報の用途

所有権取得の登記が完了すると法務局から発行される書類です。「権利証」とも呼ばれます。
仲介会社と媒介契約を結ぶ際、販売活動の依頼主が間違いなく不動産の所有者であることを確認するために提示を求められます。売買契約時にも買主に提示します。
無事に売却できた際には、不動産の所有者を売主から買主に変更する移転登記が必要になります。
不動産の引き渡し時に移転登記を代行してもらう司法書士に登記済証を渡すことになります。

2005年3月7日以降は、法改正のため登記済権利証に代わって「登記識別情報」が導入されています。
登記名義人には12桁の符号が記された通知書が送付され、この符号から本人確認ができるようになりました。
書面ではなく符号を提示するだけで済みます。

登記済権利証/登記識別情報の入手方法

登記済証や登記識別情報は、改めて入手するものではなく、不動産の所有登記をした時点で受け取っているものです。
万が一紛失してしまった場合は、登記所に事情を説明して「事前通知」を送付してもらう手段や司法書士などの資格者代理人に本人確認を行ってもらう手段などがあります。
販売活動を依頼する不動産会社に相談してみましょう。

身分証明書

身分証明書の用途

運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなど、一般的に身分証明書として認められているものです。
媒介契約時は不動産会社に、売買契約時は買主に、引き渡し時は移転登記を依頼する司法書士に、契約者または依頼者本人である証明として提示します。

間取図の用途

仲介会社が不動産の販売活動をする際は、WEBサイトや住宅情報誌、チラシなどに物件情報を掲載して広く購入希望者を募ります。どのような間取りなのかも公開しなければ、購入希望者の関心を集めることができません。
取引や契約に必ず必要というわけではありませんが、実質的に必須と言えます。
一戸建ての場合は、土地の形状が分かる図面も用意しましょう。

間取図の入手方法

基本的には、不動産の取得時に入手しているものですが、紛失してしまった場合は仲介会社に相談しましょう。
マンションの場合は、リノベーションなどで間取り変更していない限りは、管理会社でも保有していることが多いと言えます。
一戸建ての場合、建築した工務店やハウスメーカーに保管してもらえている可能性もあります。ただし古い家だと建築担当が誰かわからない、現存していないなど、入手が困難な場合があります。現況から簡易な間取図を作成してもらうなど、対策が必要になります。

建築確認済証・検査済証(一戸建ての場合)

建築確認済証・検査済証の用途

建築確認済証は、工事前の計画が法律に適合していることを証明する書類で、検査済証は工事の途中や完了時の検査で法律に適合していることを証明する書類です。
売却しようとしている一戸建てが、建築基準法にのっとって建てられているかどうかは、買い手の付きやすさや売却価格に大きく影響しますから、媒介契約時に仲介会社から提示を求められます。

建築確認済証・検査済証の入手方法

対象の一戸建てを新築物件として購入している場合には、取得時に入手しているはずです。
紛失してしまった場合や、中古として購入していてもともと入手していないという場合は、再発行してもらえません。
その代わり、管轄の役所に申請すれば、建築確認申請時の内容と概要が記載された「建築計画概要書」や、台帳に記載されている内容を証明する「建築確認台帳記載事項証明書」を有料で発行してもらえます。
売却時には、これらを建築確認済証や検査済証の代わりにできます。

地積測量図・境界確認書(土地の場合)

地積測量図・境界確認書の用途

土地の面積や、隣接している他の土地、道路などとの境界の位置を証明するための書類で、隣地でトラブルを防ぐ安心材料として必須となります。
媒介契約を結ぶ時には用意してあるのが良いですが、例えば代々引き継いできた土地など、そもそも測量自体が実施されていないケース、実施時期が古いために精度が低くて現況にそぐわないケースが多いと言えます。
そんな時は、新たに測量することになり、書類が整うまでには数カ月かかります。
そのためにもおおよその数値で販売活動を開始し、並行して測量作業を進めることもあります。

地積測量図・境界確認書の入手方法

売却を考えている土地が、購入したものだったら、基本的に購入時に手元にあると言えます。。
例えば紛失している場合でも、地積測量図が作成されている場合は法務局に保管されているので、基本的には取得できます。
ただ境界確認書は、隣接するすべての土地所有者と境界線について合意したことを証明する書類で、公的に保管されているわけではありません。過去に測量しており、紛失してしまうと、測量した会社が分からない限り再入手できず、改めて測量が必要になります。

管理規約・使用細則(マンションの場合)

管理規約・使用細則の用途

共用部の使い方などのルールが管理規約や使用細則として書面にまとめられています。購入者が希望する暮らし方を実現できるか判断する上で必要となるため、仲介会社と媒介契約を結んだら、できるだけ早いタイミングで提示するのがいいでしょう。手元に見当たらなくても、マンションの管理会社が保有しているので、仲介会社が手配してくれます。

重要事項にかかわる調査報告書(マンションの場合)

重要事項にかかわる調査報告書の用途

マンションの管理費や修繕積立金の回収・運用状態、大規模修繕の実施状況などがまとめられた書類で、マンションの管理会社が作成します。多くは、仲介会社が買主に提示する重要事項説明書に記載しなければならないため必須です。ただ実際には仲介会社が管理会社に直接手配してくれるので、売主が用意する必要はありません。

固定資産税納税・都市計画税納税通知書

固定資産税納税・都市計画税納税通知書の用途

日本で不動産を所有している人には、その不動産に応じた固定資産税と都市計画税が課税されます。
これらの税額が記載されたものが納税通知書で、毎年1月1日時点の所有者に対して、役所から届けられます。
一般的に、不動産の売買では、引き渡し時期に応じて税額を売主と買主で按分します。通知書はそれぞれの負担額を算出してもらうために仲介会社に提示する必要があります。また、仲介会社は、算出した負担額を重要事項説明書に明記しなくてはならないため、媒介契約を結んだら早めに提示しましょう。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書の用途

不動産の評価額が記載された書類です。売主から買主に不動産を引き渡すときには、司法書士に移転登記を依頼します。
移転登記の際には登録免許税がかかりますが、その額を算出するためにも売買契約時に必要となります。また引き渡し時には司法書士に渡す必要があります。

固定資産評価証明書の入手方法

役所で入手できますが、媒介契約書や売主の委任状があれば、仲介会社に入手を代行してもらうことも可能です。

実印と印鑑証明

実印と印鑑証明の用途

買主と売買契約を結ぶ際は、売買契約書に実印を押すことになります。また、引き渡し時には登記書類に実印を押します。
この際に使う印鑑が、間違いなく役所に印鑑登録したものであることを証明する書類が、印鑑証明です。売買契約時には買主に、引き渡し時には司法書士に渡します。

印鑑証明の入手方法

役所か、マイナンバーカードがあれば、コンビニやスーパーなどに設置されている証明書類の自動交付機能が付いた端末でも入手可能です。発行から3カ月が有効期限となるため、売買契約を結ぶ日が確定してから手配するようにしましょう。

 

住民票の写しか戸籍附表

住民票の写しや戸籍附表の用途

売却する不動産を登記している住所と現住所が異なる場合、司法書士に所有者の移転登記をしてもらうために必要になります。
以前、売却予定の不動産に住んでいて、その後の引越しが1回だけという場合は、前の住所も記載される住民票の写しを用意します。
住民票の写しには現住所に移る直前の住所しか記載されないため、転勤などで複数回引越しを重ねている場合は、すべての住所履歴が掲載されている戸籍附表が必要になります。

住民票の写しや戸籍附表の入手方法

住民票に関しては役所で入手します。戸籍附表の場合は、本籍が置いてある市区町村で申請する必要があります。
つまり、現在住んでいる市区町村が本籍地ではない場合、最寄りの役所に行っても入手できません。
本籍地が分からない場合は、住民票の写しで確認しましょう。
現住所と本籍地が遠く離れている場合などは、郵送による請求・取得も可能です。

預金通帳(控えでも可)

預金通帳の用途

引き渡し時には、売却額から手付金を差し引いた残額を、指定した口座に振り込んでもらうことになります。
この際、振込先として提示する必要があるので、預金通帳もしくは、金融機関名や支店名、口座種別、口座番号の控えを用意して、複数人で突き合わせ、取り違えが起きないようにしましょう。

 

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